【番組解読】 アーリントンCの実施目的について

 明け3歳、1600Mの京成杯(※99年より2000M)・シンザン記念、1800Mの共同通信杯・きさらぎ賞という流れで進み、3歳競走はいよいよクラシックに向けて本格化。同時に、非クラシック路線もまたここから本格化する事になります。
 1回東京・2回京都が終了した時点でダービー馬選定作業が終了。皐月賞馬の選定作業が始まると同時に、短距離路線(=非クラシック)を進む3歳馬に用意されるレースの中に、1600MのペガサスS(※92年よりアーリントンC)がある。
 2冠馬が誕生する状況でない限り、ダービーはダメでも皐月賞ならば狙えるという馬が存在する。そして、ダービー・皐月賞の両方がダメという馬も存在する。2歳新馬戦からダービーだけを目標にしてきた3歳戦が、ダービー馬選定が終了したと同時に、いくつかの目標に向けて分かれる分岐点。その振り分けが、ペガサスS(アーリントンC)の1着条件に直結すると考えられます。

 秋天皇賞が4歳上から3歳上へ変更された87年、同時に新設された3歳短距離重賞、ペガサスS・クリスタルC・中日4歳Sの3レース。エイシンテンペストキリノトウコウヒデリュウオーという新しいタイプの3歳重賞ウイナーを生み、3レースそれぞれの実施目的は、3頭の1着馬それぞれの特徴に反映されているはずです。わざわざ同時に3レース新設したわけですから、ここで注目しなくてはいけないのは3レースの共通点ではなく、3レースの違いです。開催時期と開催場所を考慮した番組編成である事は誰が見たって明らかでしょう。
 ペガサスSは共同通信杯・きさらぎ賞(=クラシック路線)が終了した後に行われる短距離重賞(=非クラシック路線)。第1回の1着馬エイシンテンペストはきさらぎ賞5着馬。この後のダービーは24頭中24着。その後もオープン特別で1度だけ3着になった以外は馬券対象外。
 クリスタルCは弥生賞・スプリングS(=クラシック路線)が終了した後に行われる短距離重賞(=非クラシック路線)。第1回の1着馬キリノトウコウは弥生賞10着馬。この後のダービーは24頭中23着。ダービーを最後に引退し、種牡馬入り。
 中日4歳Sは春クラシック終了後に行われるローカル重賞(現ファルコンSは06年度、2回中京から1回中京に移行)。第1回の1着馬ヒデリュウオーは、京都・2歳新馬戦でデビューして以来、京都・阪神のみを使ってきた馬。その後、5歳の秋まで中距離重賞レースの常連として現役を続けるも、関東の東京・中山、関東ローカルの新潟・福島は一度も走る事なく引退。


(つづく)